風と水/木立 悟
 




霧と緑と
夜に立つ巨樹
空と地を埋め
ひとり高く


低い曇の下
平原を
草より低い影がくぐり
最初の雨を引き寄せている


夕暮れのかけら
まとわりつく糸
青空と涙
砕かれた虹を昇る子ら


湖のむこうの白い塔
檻のなかの三羽の鳥
曇が曇を繋ぐ音
本の上に揺れる鍵


径にさざめく景から景へ
機械の教会が倒れては消える
ひびわれた陽を貫く気球
昇ることを止めぬ子ら


明るさの渦に挿し入れられる手
白く小さな板の群れが
いつか忘れた言葉たちとなり
夜の樹の根にかがやいている
























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