ホトトギスの木/ただのみきや
 
道路が出来て分断されて
この木は孤独に真っすぐ伸びた
辺りの土地が分譲されて
真新しい家が茸みたいに生えてくると
繁り過ぎた木は切られることになった
ざわざわと全身の葉を震わせて
震わせて木は ただ立っている
六月にしては暑い日だった
太陽の斧が振り下ろされて
影はすでに静かに倒れている


ホトトギスが一羽
このごろは居座っていた
身を擦り寄せるようにして
てっぺんかけたかー そう
鳴こうとするが
舌が回らずにどもってばかり
言いたいことが言えなくて
鳴けども泣けども伝わらない
心を鎮め 想いを込めて
木の葉に隠れて叫んでみるが


応える声も仲間
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