夢のなかでは/こたきひろし
 
けらて首を切り落とされそうになったよ。」
すると、嘘でしょ、と彼女が言った。信じられないという顔をしながら。
「私もハサミの夢を見たの、大きなハサミだった。」
僕は驚いた。「偶然かな?」
「ゴメンね」
彼女が謝ってきた。「私はハサミを持って貴方を追い回してたわ。」
夢のなかでも酷いな、と僕は答えた。
夢のなかだから許して、と彼女は言った。
「それで君の夢の結末はどうなった?」
僕は訊いてみた。
「怒らないかな」
と彼女が言ったから、怒らないよと僕は答えた。
そしたら、彼女は言った。
「ちゃんと貴方の首切り落としたわよ。」って。




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