【文学的波長】/黒崎 水華
 
脳味噌、お花畑だね」
並んだスカートひらり
風に揺れる。

短い命が花の間だけなら、枯れた後の果実が青から赤に染まって甘くなるまで待って。

少女はケラケラ笑う。
「ポエム!」
「ポエムだ!」
虫になって這いずる彼女たち。
やがて美しい蝶に成る。
風に攫われて地面に横たわるまで待って。

(詩と小説は違うよ?)
彼は死んだ魚の眼で遠くを見る。
そう、句点が滑り込む。
(意味なんて求められてないよ?)
白い首筋が月明かりに刺される。

紫陽花の下で蠢く闇がそっと産まれようとする。
孕んだ夜が犇めくのは夜空が明る過ぎるから……落ち着かない。
言葉が言葉として作用しない内に、あたしはそっと汚れた爪痕を残すのだ。

[あんたの目は節穴だからね、あたしの言葉の一つも見つけられないの]
そうして並ぶ足跡が砂浜に残る。

行間に無視される音域の音階を登ってゆく
天使の梯子ってどう思う?
破綻した断頭台みたいね」

彼女なら吐き捨てる
言葉は言葉として。
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