空だまり/田中修子
ごめんねとあなたにささやいて
いつも唾でやさしい嘘をなぞっていた
ほら、耳をふさいでしゃがみこんで
はねつけろよ
いつからわたしの舌は
こんなにも何枚もはえてこっそりと赤い棘で
みなをわらわせることができるようになったんだよ
肋骨からいじわるなことがわいてくるのは
もうだれも痛くしたくない
包帯で首をつってしまいたい
みぐるしい叫び声で灰色の空の玻璃をわってしまおう
……ぱらぱら……ととと……っつっつ
傷ついた鳥とともに空の破片が落ちてきて
立ち竦むわたしのからだを傷つけていった
ふと見下ろせば足元にきらめく空だまりがあった
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