初めてを/こたきひろし
 
私は今日までに 数えきれない 初めて を繰り返してきた
この世界に生まれ落ちて日に初めてあげた泣き声 その時初めて浴びた光 初めて体を洗ってくれた水 初めて飲んだ母乳
それらは私の記憶の靄に飲まれてしまっているけれど
初めての度かさねであったに違いない
数え出したら果てしない初めて連続
私の首が座って そして訪れた初めての歩行
私が今日までに経験した膨大な初めての数が
私を一個の人間に育ててくれた

初めて異性に熱く胸が騒ぎだして吹きこぼれだした感情
思いを抑えきれず 告白した日に返ってきた ごめんなさい
自分が自分を支えていられなくなった

純粋で無垢な心の反対側にいつも私を汚そうとした
激しい性の衝動

心と体のバランス

私は今日までに数えきれない初めてに支えられ
これからも初めてを積み重ねていくだろう
いつかは死にいたる道筋で

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