脱ぎ捨てて/
若原光彦
こになじった
咳だけが加わらず遠巻きにうっとりしていた
なるほどこれは退屈しないな
とわたしは思った
わたしはそうは思わなかった
わたしは
わたしから静かに離れた
わたしによくない気がして
あるいは
どこへ行こうかと考えて
いなかった
いようもなかった
ただひとつだけ
あった
そうだ
わたしだけの墓に
めぐりあいにゆこう
もしあえたなら
わたしはその墓の墓になろう
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