証明/文字綴り屋 ひじり
自分を慰めてみても
乾いた苦笑いしかできず
どこか遠くへ行こうって
何度も呟くけれど
結局は暇と懐具合次第
苦し紛れに
小さな声で
助けてと言ってみた
そうしたら
涙が出てきた
その瞬間
不思議と笑いがこみあげてきた
やっとわかった
自分がどんな人間であるのか
私自身が証明するのを
ずっと忘れていたんだってことを
子供の頃は親が証明してくれた
頑張る子
聞き分けの良い子
学生の頃は友達が証明してくれた
明るい子
優しい子
大人になってからは
誰が証明して
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)