さびしさを/こたきひろし
 
このさびしさは私だけのもの
私だけのさびしさに色をつけられはしないさ


人も集まれば塵になるらしい
人も流れて波になるみたいに

満員の電車には乗りたくないけど
乗らなければならない人に圧されて 人を圧して
日々に飲まれている人の群れ

その中にいても
私には私だけの言い知れないさびしさはかわらない
車窓の向こうに過ぎて去る景色

五月の息吹き
季節は繊細な色使いと筆に運ばれている筈なのに
都会は街は季節を失っている

それはもしかしたら私の内面にある森に呼応して
さびしい風が吹いているからかもしれない
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