ふたつつむじのゆくえ/そらの珊瑚
 
通夜のさざなみ

鯛の骨がのどに刺さって
死んでしまうなんてね
或る死の理由が
人の口から口へとささやかれ



悲劇

重力がない世界では
シャボン玉も落ちてはこない
だから
永遠に虹を映して
さまようしかないのです


シ二ボタル

夏に光る虫のいくつかは
もうすでに死んでいて
死んでいることに気づかずに
光っているから
かごに閉じ込めてはいけないよ
浮遊する祖母の遺言


初夏

空白をぬりつぶしていくと
一日が終わる
すり減ったクレヨンの分だけ
今日の画は重く
飛び立った雛のぶんだけ
巣は軽い






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