希(のぞみ)/秋葉竹
 


ときの過ぎゆく悲しみは僕に
まるで嘘をつけよと唆(そそのか)しているかのようだ。

夢にみた黒猫の貌をした貴女、
夢の中でなら、
僕たちのキス、あたたかかったね?

夜を待ち、今日うしなった心が晴れる時間を
なにもかも放り出しても、貴女を想う囁きを
この部屋の隅に積み重ねてみて、
黒猫のシッポを撫でてみたいな。

とおいしあわせみたいな静けさの中、
漕ぎ出した未来への小舟の生真面目さが、

ちょっと、忘れられない諸行無常の鐘のおとを
打ち鳴らしては、
黙り込んでしまい、
死ぬまでは、生きねばならない一生を、
後悔せずに詠う街角の詩人になりたい。

とまあ、
こんな希が、雨霰(あめあられ)?

いや、雨嵐(あめあらし)。






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