花は/こたきひろし
 
魂の脱け殻が落ちているらしい

日常のあちらこちらに

凡人は誰も気づかずにいるから
誰も気づけずにいるから
日常はいたって平穏だ

人は生きている間にも
魂の脱け殻になってしまうらしい

詩人は
落ちている魂の脱け殻を人知れず集めて
そっと火を放ち
燃やしている


燃えつきた灰のなかから
咲く花は美しいに違いないから
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