サボテンと砂袋たち/尾田和彦
仕事帰りにはいつもコンビニに寄る
たいていは
駅の近くにあるサークルKだが
サントリーのウォッカと明治のチョコレートを買い
帰りの電車を待つ何分かの間に
ストレスで固まった神経をアルコールと糖分で和らげるためだ
重たい砂袋のようになった体のどこかに
まるで
経年劣化できた
穴でも開いているようだった
反対側のホームのサラリーマンも
虚空をみつめながら
同様の思いでいるらしい
あいた穴からポタポタと零れるのものを
愛おしんでいるのだ
砂袋の中にできた生傷を
愛でているのだ
でなきゃこんな自虐的な生活のどこに
使命を抱くことなんかできるだろうか
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