GIRLS OFF/佐久間 肇
ったのか、思い出せない少女。
あたしは一体、誰が好きだったのーーー?
少女の油断を獣は見逃さなかった。
いっせいに襲いかかられて、貪り食われてゆく少女の躯。
残り少ない桃色の躯。
噛み砕かれる肉の痛みに、悲鳴ひとつもあげさせてもらえず、
泣くことも叶わず、懺悔させられる意図をも分からず。
茶色に染まったりんごが残され、少女の躯はなくなってしまった。
えぐられた過去の中に、少女の知るものが?
熟れて果汁を滴らせていたりんごも、太陽の怒りに負けて干乾びていった。
少女のお腹の中を懐かしむこともなく。
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