二月からのこと/
山人
にあるのは妄想という球体
腐れかけた妄想がその中に入り込み、浮かんでいる
失われてゆく季節、失われた私
水に名が無いように、私の名も失われ
このように、丸い球体となって、殺がれた私を見ている
木は失意し、空は失速する
草は瘡蓋を置き去りにし、すべての血はうすくなる
時間は歴史となり、眼球は軽石となる
十二月は無造作に私を葬る
影を作ることも忘れた冬が
名もない私を狩る
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