美しき女神たち/こたきひろし
必要な悪と
必要な善が等しく店頭に並べられたら
どっちが先に売り切れるかな
僕は十九歳 未成年だった
未成年の僕が一刻も早く棄てたかったのは
童貞
成人を向かえる前にどうしても体験したかった
でもそれを拾ってくれる女の子には廻り会えない
だから僕は夜の街でなけなしの金を使った
それを悪と言うなら蔑んでくれていい
そこで出会った美しき女神は
最初はとても優しかった
その内に苛立って遂には口にした
「だから初めてはイヤなのよ、時間かかるしめんどう臭いし」
美しき女神はそう言ったのだった
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