人間だから/こたきひろし
時に眼からこぼれでる涙と
時に傷口から流れ出る血とが
私の排水溝で合流するなんてあるんだろうか
私は謝りなく人間だから
時に心が歪んで誰かを憎悪するだろう
私は謝りなく人間だから
時に心が摩擦して熱を帯び誰かを愛してしまうだろう
私は限りなく人間だから
いずれ歳月に滅ぼされて
皮膚も内臓も
眼も耳も口も
そして正体の掴めない心も魂も
腐敗の時を向かえてしまうだろう
時間が巨大な口を開けて私の全てを
飲み込んでしまう日にも
私は人間だから
それが叶うなら
カップヌードルの麺を流し込んで欲しい
それが私の最後の晩餐でも
戻る 編 削 Point(1)