燕よ/そらの珊瑚
まぶしいのは
ずっと目を閉じていたから
そこは優しい闇に似た架空世界で
行こうとさえ思えば深海にも
宇宙にも
過去にだって行けた
あのスカートはどこにしまっただろう
青い水玉模様
くるくる回れば
小さな隠しポケットの奥底で
飴玉がかささと謳った
芽吹きの気配はいつのまにか隣に来ていて、だから
一年ぶりに目を開けてみようと思った
生まれたばかりの柔らかなみどり葉
空を目指して
風に震える
現実は
指で触れれば千切れてしまいそうな
光まみれであることに驚く
そして雨上がり
燕よ、燕
低く鋭く飛行し
なにものにもぶつからないことが
魔法みたいに
ただまぶしいから
まばたきを繰り返して
わたしは長かった夜を忘れそう
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