アフリカツイン/あおば
 
ドを上げて
現われた
大きな駱駝のような姿に
ヘッドライトを二つ点灯し
何事も無いかのように
跳んで来る

目的地はここなのか
見ているうちに2ndギヤに減速し
僅かに湿った沼の縁を泥濘を
懐かしげに踏みしめてから
泥水の様子を一瞥すると
何ごともなかったかのように
再び、河の源流を目指し
加速した
後輪タイヤから
湿った土塊が放射して
軽い水音を立てた
重たいエキゾーストの音が
一度だけ辺りを支配した
すぐに
強烈な太陽は有無を言わさず
絶対的な権威を取り戻し
沼のほとりのタイヤの跡は
いつまでも残って
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