くちづけ/
はるな
くちづけは乾いていて
忘れたころに香る
五月の庭は騒がしく潤み
ひらくたび
こまかく傷ついていく手のひらで
世界を泳いでいる
まだ知らない
なにも知らない
溺れるように街を掻き
知りたいようなそうでも無いような
顔をあげるたび
息をのみ
あなたのからだは街より広く
あかるい夢のなかで
くちづけは
息継ぎでした
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