こむらがえっちゃん/かなりや
こむらがえっちゃったってさ
えっちゃんが
プール開きの次の日にね
三四時間目の空はいつもより雲がすくなくて
直に空色が降ってくる
足をかかえながら歯を食いしばって
それでも泣いたり助けてとか言わないえっちゃんを
初夏の太陽が、さす
プールが終わったら給食だ
潤った肌や髪で給食着を着るなんて、やだね
ってマオちゃんは言ってたけど
意識はぜったいに、えっちゃんへ向いていたと思うんだ
給食着よりももっと、気になっていたはずなんだ
でも、ぼくらはこんなにもうらはらだ
突然かみなり雲におそわれて
プールサイドと水の中、どっちが安全だっけ?とか、混乱しちゃう大人を横目に
食缶のやきそばめがけて走っていくこともできるんだ
だから
えっちゃんが
えっちゃんのふくらはぎが
こむらがえるということも、アリだよね
ぼくらはこんなにも小さいけれど
ぼくらはこんなにもなんでもできる人たちだったんだね
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