鉄棒と絶望を間違えて/こたきひろし
右手をピストルにした
銃口は人差し指の先 中指が引き金
銃口を自分のこめかみに当てた 躊躇わずに引き金を引いた
バーン
銃声を口で声にした
死んだ真似をしたら 胸の隙間から冷たい風が吹き込んだ
鉄棒の逆上がりがどうしても出来なかった
何度も挑戦したが無駄だった
努力は重ねれば いつかは報われる
重ねても けして報われない努力があることを
何度も味わった少年は
そんな時 右手をピストルにして
自分を射殺した
そうやって絶望した感情に終止符をうった
少年は 大人と子供の境界線に向かって歩いていた
一度は通り抜けなければならない道筋を
歩いている間にその心が歪
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