とある男の独白詩/TAP
ていたよ。無理をするのをやめた時、僕はまっさきにテレビを捨てた。
久しく外に出てないな
太陽を嫌いになったのか
悪臭を放つ水槽の中で金魚が死んでいる
いまさら水を換えても蘇ることはない
快適といえばそうなんだ。誰かに傷つけられることもないし、誰かを傷つけてしまうこともない。次第に感情がのっぺりしてきて、何も感じなくなったみたい。寂しいとか、哀しいとか、そういう気持ち、僕は忘れたな。
心が荒んでしまったね とは、よく言われたけれど
心がなくなってしまったね とは、まだ言われていない
戻る 編 削 Point(1)