越冬燕/杉菜 晃
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岬の先端に
一羽の越冬燕が佇んでいる
仲間の到着を待って
長い苦闘に
羽根はぼさぼさ
やつれて見る影もない
運命に持ち運ばれたとはいえ
惨めな姿だ
越冬燕は仲間を待ちわびて首を伸ばす
もしやって来なかったら
そんな不安が胸をよぎる
このとき 遥か彼方に 叢がる雲の
ようなものが現れ出た
先陣を切る一列の鳥の嘴が
陽光に金色に煌めく
来た!
迎えに飛び立とうとして 飛べなかった
腰が抜けたのだ
越冬燕となったときと同じ格好で
孤児のように 蹲った
仲間に気づかれずに
頭上を通過してしまわないよう 祈る
「あら あそこに蟹みたいに蹲っているの 行方不明になった
お兄ちゃんじゃないかしら」
一羽の若い妹燕が 鳩のように 翼を翻して降りて来た
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