さびしさは/こたきひろし
 
仮の名前でインターネットの空に飛び交う鳥の群れ
それぞれは何の関わりもなく その実体を知らない
飛びながら排泄される糞は 落ちてネットにこびりつく

そのなかで 詩をくちばしにくわえていた鳥たちは
地上の言葉の森 綺麗で なぜか寂しい樹木に降りて羽を休める

貴女は羽を痛めていた 現実世界に大きく傷ついていた
治療が必要だった
同じ森に同じ樹木に羽を休めていた私は
傷ついた彼女を見捨てられず手をさしのべた

傷ついていた彼女は何の警戒感もなく受け入れてくれた
それはお互いが同じ匂いをしていて
それを嗅ぎとってくれたからに違いなかった

仮の名前でインターネットの森に羽を休めた一羽と一羽
お互いの眼にあふれたさびしさを
見つめあった


戻る   Point(3)