気もそぞろ、雨の中/
坂本瞳子
ビニールの傘
雨の滴が伝う
船の帆のように
ピンと張って
緩むことなく
風には向かう
弱くない
ひるまない
ボタボタと
雨に打ち付けられて
音を立てるけれども
破られない
穴が空いて漏れたりしない
透明のビニールは
あちら側を見るために
剥き出しの銀の骨は
脆弱そうに見えても
それなりに強く
守るから
戻る
編
削
Point
(1)