トランジット/
そらの珊瑚
父母が買った墓を見に行く
高台にあるそこからは
海が見渡せ
なんのわずらいもない風が吹き渡り
小さな飛行機が雲間に光る
このお墓に入ったら
この景色を見て暮らす、という母に
いいなあ、わたしもここに入りたいと笑う
人は
死んだあとのことを笑って話せる
奇妙な生き物
どこにでもあるような
ありきたりな故郷の街並みに
どこにでもあるかのような会話を
だけど今しかない春休みに
わたしたちは
ひっそりと上書きしていく
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