アイツ、親指が無いんだって/狩心
 
検査している
検察官はこの検死を 最後の検死とする
永遠に生きてきた魔女の 全裸の検死で
死んでいる細胞が 生きていることに気が付く
照明が落ちて 闇が証明する
君の善人が死んだから
君は君を越えて検死される
君が君を越えて君は
もはや

雑草が過ぎ去りし日々にゆらゆらと躍り
カメラはその館からズームアウトしていく
点になるまでズームアウトしていく
そこで起きたことは誰にも知られることがないから
君はポスターの中で笑っている
何を見て笑っているのか
誰にも分からないから君は笑って
レストランの片隅で
夜の硝子に反射されながら写って
レストランの証明が落ちる
血の中に落ちる
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