すすけたヨモギ猫のうたう/Lucy
くしゃみが出そうなほど明るい日差し
塀を飛び降り路駐の車の腹の下にでも
潜り込みたくなるような午後
どの家の狭い庭にも
クロッカスがガンガン咲いて
クリスマスローズの蕾が気取ってほころび
チオノドクサも光を集める
チューリップはまだまだ
水仙も
桜もまだ
木立の枝もまだ冬の色
だけど確実に春なのは
雪のない地面
腹をこすりつけても
ねころがっても濡れない乾いた舗道の暖かさ
これをどんなに長い時間
ありえない夢のように思い描いたことだろう
羽毛のような薄い雲が舞う青空を
ちょっと泣きたいような気持で
見上げながら
埃っぽい風に目がちかちかしても
去年の春よりわずかに衰えた身を
カラスの影に
いともたやすく追い越されても・・
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