黄昏色の翼をかりて/ベンジャミン
 
飛べるはずもない身体を
立ち入り禁止のフェンスにあずけて
みるみる遠ざかる飛行機を見送る

だんだんと小さくなってゆくのは
きっと僕の方だ

手の届かないものたちが
近くに感じられていたのはいつの頃だったか
無邪気に語ったいろいろは
けして無責任なんかじゃなくて
根拠はいつだって
胸の奥にあったんだ

そんな
遠い目を傾けながら
いままさに飛び立とうとする機体に
しがみつくような視線を
からませる
重たい身体を
首の力だけで持ち上げるようにして
浮き上がった
機体は沈みかけた陽を反射しながら
みるみる遠ざかってゆく

けれど
轟音にまぎれて
言葉にならない叫びをあげた僕の中では

何かが
だんだんと大きくなってゆく



   

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