傷ついた林檎/卯月とわ子
紅玉
丸々と膨らんで
てかてかと赤く
誰も彼もを魅了する
君は美しい
認めるさ
ああ、君は美しい
君を非難する者など居なかっただろう
褒めて称えて持ち上げて
それが君の世界だった
とある日君は傷ついた
理由は簡単
君が誰かを傷つけたから
誰かはだんだんと増えて
君は傷ついた
目に見えない誰かが君を傷つけた
君は誰かが悪いと云う
でも僕はそうは思えない
確かに人を傷つけてはいけない
誰もがそれを心得ている
でも君は誰かを傷つけた
誰かが君を傷つけた様に
目に見えない大勢の誰か
いつも君は囲まれていた
うらやましい程に
君の周りは賑やかだっ
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