秘密/ヤスヒロ ハル
ラテン語を囁く
髪の長い少女は
金色の瞳を
いつも濡らしている
彼女の鎖骨には
ジュブナイルが埋まっていて
大人になるには
あと少しかかりそうだ
少女は恋をしていた
アスペンの木の大きな幹に。
樹皮の匂いを嗅ぐと落ち着くから
それは内緒のこと
少女は知らない
アスペンもまた
誰にも言えず
少女の金の瞳に
お伽噺に
彼女にしか発音できない言葉に
恋をしていることを
少女は今日も額を幹に寄せ
愛の言葉を唱える
安心が小さな胸に押し寄せ
秘密を囁くように
葉が風に揺れた
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