幸せを運ぶブタ/桜 葉一
閉店間際のスーパーに行くと
お袋が2割引になって売っていた
陳列棚には親父が売れ残っていた
兄がバーコードを読み取る機械に当てられていた
150円だった
偶然弟に出会った
彼はモズクを5パック買っていた
僕はブタを買った
大切に育てた
ある日ブタが卵を生んだ
食べた
鶏の卵のような味だった
その日からブタは毎日卵を生むようになった
スーパーへ行った
お袋が半額になっていた
親父はまだ売れ残っていた
兄は150円のまま
弟はメカブを買っているようだった
僕はブタを買った
ブタは卵を生み
僕はそれを食べた
とても美味しかった
1人暮し初日
僕はそんな夢を見た
戻る 編 削 Point(4)