死を超えたものだけが本当に語ることが出来るだろう/ホロウ・シカエルボク
 
で呼べばいいさ、好きな旋律で叫べばいい、もしもそこになにかしらの制約が存在するのなら、そいつはよく出来た嘘に過ぎない。頻繁に目にするだろう、御託ほどの御作は決して創れないような、そんな連中―エンジニアや、解体業者がやってくる。役割を失った塊は撤去される。床にこびりついた血液も剥ぎ取られて、飴菓子のような形のまま廃棄される。そこにはなにかがあったことを示す妙に真新しい床だけが残される。だけどそれも、時計の進行とともにいつしか隠されてしまうだろう。きみが壊れないという保証はどこにある?おれが壊れないという保証はどこにある?ある日回転軸は突然歪んでしまうかもしれない。おれもきみも、いつしか役目を果たせなくなり、冷たい床に放り出されて、いつしか撤去されるときが来る。御託を並べる前に動けるだけ動いて見せることだ、いまきみの部屋で蠢いているいくつもの音楽や詩文、その作者のどれだけがいまも生きていて、なおかつ新しいものを産み出しているのか―一度でも考えてみたことがあるか?出来る限りやってみればいい、昔よりも保存が効く世界におれたちは住んでいるんだから。

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