謎は何/こたきひろし
 
狭い道は迷路のように入りくんで両側に犇めく家々は道路ぎりぎりまで押し寄せていた
空間が開ける 古いアパートの建物が左側に現れて二階建ての佇まいがまるで幽霊屋敷のようだった
鉄の階段は怖いくらい急で危なげだった 若い女は短いスカートをはいていたから下から誰かに覗かれはしないかと不安になった
アパートにはいったい幾つ部屋があるのかなんて女は数えた事はなかった 男の部屋は真ん中あたりにあってノックすると中から返事があった
間もなくドアが開けられて男が顔を見せた
女は男に抱かれる為にきた からと言って男を愛していた訳じゃない
単純に女の性欲を充たす為にインターネットに引き寄せられてきたのだ

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