a piece of spring/そらの珊瑚
 
春が流れていく

みなもに降り立った
無数のひとひらたちは
いたづらに未来を占ったりしない
何にも誰にも逆らわずに
やがて
その先でひとつになる

裏もなく表もなく
命は等しく終わりを告げて
その先で大きなひとつになる

なにも載せずに
(あるいは時間だけを載せて)
花筏が流れていく

死んだ先にも
物体としての未来があるのなら
わたしは
解体されたそのひとひらになり
海までたどりつき
魚に食べられて
ほんとうのおしまいになる


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