冬の朝の詩/高林 光
踏みしめる雪の靴音は
清らかに固められた冷気のこすれるような強情さで
色の薄い太陽と
水を透かしたような蒼の空
登校する子供達の歩道の
一本道が少しずつ踏みしめられて
坂下まで続く
時に無邪気に脇にそれたかと思うと
不意に戻ったり
きまりのない想いが続いて
しばれきった冬の寒ささえ喜ぶ子等なら
この朝とひとつになれるのかもしれない
清らかなものの吐く息が
淡い朝陽の熱をも奪い
さめた幻になる
冬の寒い朝に意味などなくて
そこにあるのは
ぼんやりとした色の薄い太陽と
曖昧に水を透かしたような蒼い空
清らかで強情な雪は靴音から
子供達が踏みしめた歩道は
彼らの思いのまま
そして
その意味のなさに戸惑う
僕がいるだけ
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