朝/
塔野夏子
断崖のふちに
ぽつんと一つ置かれた白いベッドで
僕は目ざめた
僕の上には
途轍もなく青く明るい空だけが
広がっていた
僕はベッドの上に坐ったまま
何も考えられずにいた
すると
空のほとんどを覆うような巨大な飛行船が
僕の頭上を
ゆっくりと横切っていった
何も考えられずにいた
ただ目ざめるまで見ていた夢のなかで
なぜか僕は激しく泣いていた
そのことだけが思い出された
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