未来は平和でならなければならない1/暁い夕日
両親の死を嘆きながら、仏に祈りを捧げたいと思った。しかし、仏教徒で教えられている仏壇も仏具も、大仏も仏の形をした御守りさえ、持ち合わせていなかった。命からがら逃げたので当然である。しかし、春樹はどうしても仏に祈りを聞いてほしかった。それで、その場に正座をして、両手を合わせて、心に仏を思いながら祈る事にした。「仏様。わたしの手には何もありません。そしてさっき、両親を亡くしてしまいました。どうかこれが現実ではないとお答えください。私の両親を返して下さい。汝、敵を愛せよと貴方は教えられました。この状況下でも愛さなければならないでしょうか?私の両親を返して下さい。両親が還るなら、私は敵の為に祈りたいとも思
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