Fallin/ホロウ・シカエルボク
 
ってどこかへ行ってしまう
窓を開けて風を入れても
病み上がりみたいな疲労感に包まれただけだった
壁掛け時計は神経症の作家みたいに
送信局の電波とディスカッションを繰り返していた
正確な表示は安心を与えてくれるけれど

(針の音を聞きたいと思う瞬間だって一度ではなかった)

雑誌をめくったって読書のまねごとになるだけだし
散歩に出るような気分でもない
シャワーでも浴びれば少しはましかもしれないけれど
きみのことを裏切るような気がしてまだ動けない

どしゃぶりの雨の中で旅に出たきみは
びしょ濡れの駅に着くのだろうか
神様は白い太陽のイラストが描かれたこうもり傘を広げて
きみをしかるべきところへ案内するだろうか


なにも思いつかないときひとはたいてい水を飲んでみるものだ
そして喉を落ちていくそれは理不尽な運命のように感じられるだろう

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