暗闇のない夜は/こたきひろし
私の家の二階
部屋数はふたつしかない
暗い部屋の隣に明るい部屋があって
どちらのドアを開けて中に入るかは
その時々の感情のままである
果たして階段は昇るためにあるのか
それとも降りるためなのか
その答えは求めようがなかったし
必要もなかった
朝は階段を降りるし
夜になると昇る事の繰り返しで
しかない
人生はおおむねそんなもだろう
と
ひとつの哲学にたどり着いてから
ずっとそれに寄りかかって生きてきたしだいである
私の家には少なくも家族が棲息していていたけれど
お互いがお互いをいつの間にか見失ってしまっていたかも知れません
私の家の二階には暗い部屋と明るい部屋があって
そのどちらのドアを開けて閉めるかは
その時々の感情のままである
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