美誠を築く/ヒヤシンス
巡る季節の儚さは闇夜に隠れた月のよう。
一人娘の待つ家に抱える苦悩の薄化粧。
橋の欄干飛び越えてその身を投げる決心も
ひと時待てば揺らぐもの。
支えはあるか?いや、ない。
貯えはあるか?いや、ない。
夢の芝居を見た後で香る?梅悲しくて。
白く咲く花、心に秘めて、
現世と来世の吊り橋を静かに渡る男あり。
一人娘の写真を眺め涙で滲む夕間暮れ。
夢はないか?いや、ある。
未練はないか?いや、ある。
心に期するものあれば黙して生き様見せてみろ。
夜に沈む訳あれば心が酔うまで酒を飲め。
刻み込まれた傷あれば納得ゆくまで曝け出せ。
生まれてきたのが愛ならば生きて己の誠を行け。
真実は誠の掟。
誠実は真の掟。
生きて笑え。
美誠を共に築く為。
戻る 編 削 Point(9)