ひとつ 残る/木立 悟
雪の下から現れた枯れ葉が
鉱に
戻れぬ場所への標にかがやき
夢の行方をささやいている
雪が止み
誰もいなくなり
灯は黙り 径は白く
径は 明るく
川の両岸に
思い出が立ち並び
水面には何も映らず
白く 明るく
空の鏡に径はつづき
さらにさらに消えかける
荒れた光は痛くあたたかく
見えぬほど激しく降りそそぐ
遠い白さが遠去かり
反射は反射し 高く飛び去る
握りしめていた手のなかに
いつのまにか 言葉がある
降っては消える花に触れる手
幾度も互いを抱き寄せる子ら
空に近いほうから崩れる思い出
ひとつだけ白くつづいてゆく径
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