暴力/葉leaf
 
う、そんな希望だけを美酒として飲む。せめて届かない言葉を、射抜かないまなざしを、矛盾に満ちた論理を。暴力とは一杯のコーヒーに過ぎない。そこから肯定も否定も生み出し、他の暴力たちと複雑な文様をかたどっていくもの。暗闇から徐々に朝の光が射してくるこの見慣れた過程の最中に、奪われた名誉をいくつも祀っていく。日本はここに存在する、そこにもあそこにも遍在する、この日本を形作っている暴力に人はみな連なっている。怒鳴る声や執拗な叱責が植物を窒息させ農業を衰退させるのをしばしば目撃した。エッジに立たされて敗北し続ける人を、共生のエッジへと、生命のエッジへと、どこまでも包摂していきたい。暴力はすべて愛という高次の暴力へと高めていきたい、と手帳の末尾には記されていた。




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