現実を弓とし概念あるいは感覚を弦として放つ矢のソネット/ただのみきや
まっすぐな道を曲げるのも
曲った道をまっすぐ往くも
はたから見れば
つむじ曲がりのへそ曲がり
味や香りが劣ってなくても
曲がり傷もの二束三文
好きに選べる人もいる
ふところ具合の人もいる
松羽目の松ように腰を屈めた老人
若竹の少年もやがて
枝垂れ桜の女もいつか
勾玉みたいに浮かぶ胎児
夢に見た一本道 まっすぐ
月のよう緩やかに弧を描いて
《現実を弓とし概念あるいは感覚を弦として
放つ矢のソネット:2018年3月3日》
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