均衡/金槌海豚
 
おみなごは 瞼を伏せて
差し出した 手の先の
細く長く しかし
硬く乾いた 指の淵      私を 呼び止めないで
縦に小さく 裂けて          たとえ 私の
深い紅 滲む          うつむいた 首筋を
                  傾けた 横顔を
 ここにいる私を 呼んで  あなた探さぬ 眼差しを
 私は 人陰に隠れ   あなたは 見つけたとしても
 目の前を過ぎる 行列
 流れる 涙流れる      おみなごは その指をもて
 誰も 見つけられない          黄色と 白の
 わたしを 見つけたならば      花びらと 戯れる
                指先触れる その先から
                     黄金 薄紅の
                    花々と なった

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