酔っ払いの手記/ただのみきや
 
たらすかのように

今 わたしの血は冷たい人肌よりも
心地よく酔っているこの血に血が醸す精神の旅程に

灼熱の太陽と乾いた風
打ちのめす怒号のごとく冷たい雨また雨
ひ弱な枝葉を食んで群棲する棘を生やした虫たち

ああ浄化など一切あろうものか
あるのはただ酔いだけ
わたしはわたしの血に酔う

自分に酔うことは酒に酔うのと同じ
素面の目には痴態をさらして見えるだろう
それで結構
生きる限り痴れ者で
醒めるなんてもったいない

わたしだけの葡萄酒
インク替わりにして匂いくらいなら




                 《酔っ払いの手記:2018年2月28日》








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