酔っ払いの手記/ただのみきや
今朝は冷たく澄んだ風と光のやわらかな壜の中
――長らく闇を枕にうつらうつら微睡んでいたのだが
凪いだ二月の日差しは眼裏を揺らめかせ熱を奪い
夢のへその緒を焼く 声を失くした叫びが黒点となる
赤い葡萄酒さながらの甘い血よ
輪郭を解きながら影を濃くし燃え盛る向日葵のように
背比べの群生に滾りに滾った血はただ酸いばかりだった
季節の遠景 煤けた燐寸
霊安室に寝そべった
辺りと同じ体温になるまで
対流しながら様々な精神と交じり合い
失ってはじめて俯瞰した根源は白い記号のよう
なにひとつ解決しないまま時間は無言のまま
破壊と喪失
やがては変質
奇妙な熟成をもたら
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