現代詩って何だ/こたきひろし
心の隙間に冷たい空気が流れ込んだのは
中が温かくて外が寒いからだっぺ
ごくごく当たり前の現象が
起きた訳さ
人間の心ってやつは
難しいようでそうでもなく
簡単なようで複雑だから
しっかり戸締まりしているつもりでも
どっかに隙間が出来ちまうもんだ
他人ばかりが棲息している街で
朝から他人だらけの駅のホームから
他人同士で満員になった電車の中で
やっとこさ座れた椅子は窮屈で
その窮屈さに自分がいったい何者なのか解らなくなって
しまった
つい行き先を忘れてしまい
それを他人に教えて貰うわけにもいかずに途方に暮れていると
電車は思いもよらずに脱線転覆して
人生は一度に暗転した
もう訳が解らなくなって
木っ端微塵に砕けた彼の心と体は
隙間だらけになって
しまった
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