クロッキー 3 脂喰坊主と九人の友達/AB(なかほど)
 


 すっかり忘れてしまった
 さびしんぼうの夜が
 ひざをかかえていた
 翌朝
 鏡の中の目は赤かった





 すっかり忘れてしまった貘
 の夢を食べた僕の夢
 を食べた獏のその夢を
 僕と獏
 が思いだせなくなるほうがいい



キルクル

 忘れようとして忘れられる
 なんて思っちゃいけないと首を
 クルリと回してニカッとするキルクルは
 やさしい
 やさしい風なのかもしれない



スコット

 あえの風と波の退く音がして
 スコット将軍も椅子につくと
 見覚えのある卓上遊戯にひとしきりの
 夢にとけて
 その
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